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■市町村担当者シンポジウム
 ふつうの暮らしを支える−県市町村の現状と課題−

町村担当者シンポジウム ふつうの暮らしを支える−県市町村の現状と課題−


●大塚晃さん(厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課 障害福祉専門官)

コーディネーターの役をいただきました大塚です。こういう機会はほとんどないのでわくわくしています。
今回の支援費制度の柱は、ひとつは利用者主体であること、もうひとつは利用者を大切にしながら市町村が中心となっていくことです。地方の時代、市町村の時代を形づくる制度である、ということです。
本日は、県(愛知県)、政令指定都市(名古屋市)、市(知多市)というレベルの異なる3名の行政担当者にお話しいただきます。支援費制度に取り組むあたって、何をしたいのか、本当にやる気があるのかを聞いてみたいと思います。
支援費制度は、ある意味でサービスについて競争関係を産む制度です。それを見極めるのは利用者です。その視点からもシンポジストの話を聞いてみたいと思います


岩井昇さん(愛知県健康福祉部障害福祉課)

岩井昇さん(愛知県健康福祉部障害福祉課)

愛知県健康福祉部障害福祉課の岩井です。愛知県として支援費制度をどのように準備して、どの様に取り組んでいるかをお話しします。

★支援費制度への準備

平成15年4月からの制度発足に先立ち、14年10月以降、市町村において支援費支給申請の受付及び支給決定が開始されます。そのため、県においても、サービスを提供する事業者・施設の指定、市町村への支援・指導、利用者に対する情報提供など、支援費制度への円滑な移行に向けた準備を行っています。

1番目は、県固有の役割として、事業者・施設を指定することがあります。厚生労働省で定められた指定基準に基づいて、サービスを提供する事業者・施設を指定します。
7月4日5日に参入を考えている介護事業者やNPO法人に説明会を開催しました。8月には個別の相談会を実施し、中旬から下旬にかけて受付を開始する予定です。

2番目は、市町村に対する支援です。市町村において支援費制度に関する事務が円滑に行われるよう、市町村職員等への説明会を開催するなど、市町村に対する支援・指導を行います。また、県の児童・障害相談センターにおいて、医学的・心理学的判定を行い、市町村が行う支給決定への支援を行います。他方、全国の会議で交わされた議論や進捗状況を市町村に伝えることも県の役割です。

3番目は、広報活動です。支援費制度の内容や県が指定した事業者・施設に関することなど、利用者に対する情報提供を行います。県民が支援費制度の理解を深めることが目的です。個別の広報・連絡は市町村が担っているのですが、広域的な部分は県が取り組んでいます。

いずれにせよ、来年4月から支援費制度が円滑に始まるよう、全力で取り組んでいます。

★ケアマネジメント体制の整備

地域生活をリアリティのあるものにするためには、ケアマネジメントの体制は重要です。障害者がサービスを主体的かつ適切に選択していくためには、どのようなサービスを利用したらよいか、また、どのようなサービスの組み合わせで利用したらよいかなどについて、相談をしてサポートを受けられる体制を各市町村に整備することが重要になります。
そのため、平成15年度からの障害者ケアマネジメント体制の本格導入に向けて、県において、ケアマネジメント従事者の養成やモデル市町村における試行的実施などを行っています。
来年から、すべての市町村や相談窓口で、ケアマネジメントの手法を使った相談支援ができるようにしたいと思います。

★サービス基盤の整備促進

利用者によるサービスの選択を可能にするためには、長いスパンのなかでサービスの提供体制が十分整備されることが必要です。グループホームやホームヘルプサービスが拡大していくが望まれます。こうした障害者福祉サービスの基盤整備については、市町村が地域の特性を踏まえて策定した市町村障害者計画が着実に推進されることが重要になります。地域のニーズを具体化することが大切だと思います。

国においては、平成14年度を目標とする「障害者プラン」に基づき推進しているところですが、県においても、平成13年3月に策定した「21世紀あいち福祉ビジョン」に基づき、サービスの提供体制の整備に努めています。具体的な実施計画については、見直し作業をすすめ、集約しています。

★大塚さんからの質問

あいち福祉ビジョンなどとの関係で、施設と地域の予算の配分は?

★回答

厚生労働省では入所施設は積極的には作らないということで、財源を効果的に使うためにも見直しは必要だと思います。
ただ、県として入所施設をすぐに廃するというわけではなく、地域生活へ移行するための入所施設であれば、必要だと思います。その時、ユニットケアや個室化など、サービスの内容において機能面での見直しも必要だと思っています。

 


●伊神雅彦さん(名古屋市健康福祉局障害福祉部障害福祉課)

伊神雅彦さん(名古屋市健康福祉局障害福祉部障害福祉課)

名古屋市健康福祉局障害福祉部障害福祉課の伊神です。障害者地域生活支援センターのことを中心にお話しします。

★経過と相談支援機関の役割

名古屋市におきましては、国の施策に対応して事業を展開してきたわけですが、平成8年には「ケアガイドライン試行事業」(国委託事業)に基づいて、「総合リハビリテーションセンター」で事業を行いました。そこで複合的なニーズをお持ちの方への対応ができました。平成10年度からケアマネジャーの養成研修を実施しており、昨年度までに235人の修了生を生み出しています。また平成12年度から生活支援事業を市の総合リハビリテーションセンターに委託して実施しております。

支援費制度は利用者本位であることが理念ですので、それを実効性のあるものにするためには、障害者が身近なところでサービスを選択できるようにすることが大切です。市では障害者生活支援センターの整備を進めています。

平成15年度から始まる支援費制度のもとで、相談支援機関が果たす役割を3つ挙げました。
(ア)各種サービス、事業者に関する情報提供
(イ)生活プランの作成援助
(ウ)各種申請代行、サービスのコーディネート

★障害者地域生活支援センター

これを実現する形で、障害者地域生活支援センターを7月15日から市内16か所で開設します。このセンターは、国の2つの事業を合わせて実施します。8か所は市町村障害者生活支援事業、8か所は障害児(者)地域療育等支援事業です。身体障害者支援と知的障害者支援においてそれぞれ役割分担が必要になりますので、その応援体制・連絡体制も組んでいます。

障害者生活支援センターの連絡体制
(1)障害者地域生活支援センター連絡会
(2)障害者地域生活支援センターブロック部会
(3)各区連絡調整会

★今後の展開

障害者のケアマネジメントは次のことが必要です。支援費制度における民間事業者との私的契約によるサービス利用者(障害者)の不利益を、事業者との調整代行や情報提供によって未然に防止すること。個々の障害者への相談・支援による適切なサービスの受給をしていただくこと。各種の社会資源の活用やカウンセリング等によって自立と社会参加を支援を確保していくこと。
その方策として、名古屋市は今後とも生活支援事業を拡充していく中でケアマネジメント体制を整備していこうと思っています。
なお、市の「新世紀計画2010」の計画期間内には、市内8か所の障害者福祉圏域内に障害別に各2か所の設置を目標としています。

★大塚さんからの質問

センターを展開していくとき、多様な運営主体が考えられるが、NPOなども視野に入れていますか?

★回答

相談援助の技術において、一定の技量を有しているNPOであれば、センターの運営主体となることも可能だと思います。

 


●森真哉さん(知多市市民福祉部福祉課)

森真哉さん(知多市市民福祉部福祉課)

知多市市民福祉部福祉課の森です。こうしてこの席に呼ばれましたが、他の市町村に比べて、決して知多市のサービスが飛び抜けているわけではありません。ただ、平成13年度から知的障害者のホームヘルプサービスを「らいふ」に委託して展開していますので、そのホームヘルプサービスの現状についてお話ししたいと思います。

★ホームヘルプサービスの現状

平成12年度は、社会福祉協議会にしか業務委託をしていなかったのですが、全体的に利用は多くありませんでした。特に外出支援についてはこの年に利用はありませんでした。
平成13年度から「らいふ」に委託を開始したこともあり、利用がどんどん増えています。傾向としては、家事援助の利用がほとんどない(知的障害者の利用ゼロ)代わりに、外で運動したり、見守り的なことをしてほしいという要望が多くあります。
見守りについては、制度が適用できるか判断に苦しむ場合が多いです。知多市の判断として、常時みている必要がある場合のみ適用させますが、基本的には見守りは対象としていません。
他方、障害児については、日中お母さんがみているケースが多いのですが、お母さんの負担が多くなっています。そんな理由から、身体介護の利用は「運動」という形でホームヘルプサービスを利用する方が多くいます。

★18歳を境にした利用状況

身体介護の利用時間数を詳しく見ます。
18歳以上の身体介護の派遣時間数は、18歳未満と比べて身体障害者・重度心身障害者の区分だけが伸びています。18歳以上になると定期券を使った身体介護がなくなるように思われますが、これは外出支援に変わっているためです。

大塚専門官からはこの制度をどんどん使えるように、という話がありますが、要綱をじっくりと読んでみると、対応に苦慮します。
18歳以上の知的障害者は判定区分は関係なしとあるのですが、18歳未満については「重度」だけが対象です。一般的には「重度=A判定」と思われています。県のガイドブックでも重度=A判定と読み取れますので、知多市においてもA判定の人を対象としています。
18歳以上は「外出支援」もありますので、どんどん使ってもらっています。

★財政上の問題

平成14年の6月までは、利用制限を設けていなかったのですが、予算がなくなりました。
12年度は、予算900万円に対して実績800万円でした。13年度は、予算1500万円に対して実績1900万円でした。14年度は、予算1900万円組んだところ、4〜5月の利用ペースが年間3300万円分です。制限を設けていませんので、利用者がどんどん増えています。
一方で、家の中にお母さんが抱え込んでいるケースもありますので、今後も需要は伸びると思います。
この事業は委託事業なのですが、予算がなくなると委託できなくなる恐れが出てきます。ですので、補正予算を組む根拠としても、それまで青天井だった利用を7月から制限することにしました。例えば、1ヶ月の利用を10時間以内でお願いします、といった形です。

財政の問題は各市町村でで頭を痛めている部分です。

★大塚さんからのコメント

制度が使われれば使われるほど周知されて、もっと使われるというのは、行政としては恐怖かもしれません。そのとき、どう庁内・財政を説得していくのかが課題だと思います。

また、国の作っている要綱の細部を規定していない部分が市町村で解釈上重要になっているんですね。障害児の場合「重度」が入っていることが議論になっています。この「重度」については見直しています。また障害児の外出支援についても検討課題になっています。


●会場からの質問:地域コミュニティをどう構成していくのか?

★岩井さん

支援費制度は利用者主体が制度としても認められたものです。この理念を実現していくためには、行政が、施設が、職員が、利用者が、みんなが意識改革をしていかなくてはなりません。そうでなくては、地域生活を支援していくということが根付かないと思います。それぞれの地域で福祉力をたかめていくような取り組みが必要になります。地域福祉計画においても、住民参加をその骨格に位置づけています。地域からの盛り上がりをどう流れに乗せていくかが行政の役割だと思います。

★伊神さん

地域コミュニティづくりというのは、つまりいかにして障害のある方が地域で暮らせる環境づくりをするか、ということだと思います。地域の中で充実した生活の実現するためには、いろんな主体による支援が必要だと思います。NPOやボランティアも含めて、いかにお互いに連携を取って地域の生活を支えていくかを市として取り組むべきものだと思います。

★森さん

市町村は地域福祉計画を作ることになっています。従来その計画は職員が作ることが多いのですが、今回求められているのはみんなで作ることだと思います。そこに暮らす人も施設も事業者も参加するのです。そういう計画づくりを通してみんなで福祉を考えることが必要だと思います。

●大塚さんのコメント

国の方策としても、地方分権と規制緩和というのが大きなテーマなんです。規制緩和を通していろんな事業者が福祉分野に参入し、そのことで利用者の選択の幅が広がることを意図しているのです。施設も社会資源として重要なのですが、それだけではだめです。カウンターパートとしてもっと自由で動きのいいものが存在しなくてはなりません。それがあって初めて施設が脅威を感じ、地域のサービスを成熟していくのです。その意味で、カウンターパートとして様々な主体を育てていきたいと思います。

かつてはこうした場で行政が質問を受けるということはなかったと思います。時代とともに行政も変わりつつあります。一方、みなさんも変わりつつあるとお思います。一方的な主張だけでは何にも変わらないんだ、行政はパートナーとして私たちの願いをかなえる一番現実的な選択肢なんだ、一緒にやっていけば時代は変わるんだ、ということがわかってきたと思います。
これからは行政とともに、障害のある方の一番いい生活を地域で実現していくか、ということが重要だと思います。

今日のように行政とみなさんが対等に意見交換することが普通の時代だと思います。みなさんとの話し合いの中でよりいいサービスが生まれると思います。その意味で今日のメンバーは支援費制度に本気で取り組むと思います。本気でなかったら、みなさんの力でエンパワメントしてください。

最後に一言ずつコメントを。

★岩井さん

本気で取り組んでいるのですが、支援費制度においてひとつの壁は財源・財政の問題です。支援費制度では、措置費のときと総額を変えないことになっています。介護保険では保険料によってパイが大きくなったが、支援費制度はそうではありません。その中でもグループホームの財源が一番不安定です。大塚専門官へのお願いとして、この財源をなんとか確保してほしいと思います。

★伊神さん

支援費制度の財源構成は、指定都市半分、国半分です。それをもとに支給基準を定めていきます。新たに支援費制度になってサービスが充実いくかどうかは、財源的に確保できるのかが関心事です。先ほどのホームヘルプサービスの問題で、利用に制限はつけないといいながら、やはり財源的な限界はあるのです。そこをいかに決着つけるのかが問題だと思います。いずれにしても、できるだけ利用者に不満のないように制度を作っていければと思います。

★森さん

財源の問題は非常に気になる問題です。市町村としてはどこに重点的に予算を配分するかというのは、地域特性があります。一方で、予算内でどう運用していくかは担当次第です。財源があっても担当が動かなければ何にもならない。担当をいかにその気にさせるかもみなさんの役目でしょう。
市町村で怖いのは補助金返還です。国の方から「やっていいよ」ときちんと言ってくれれば安心してその範囲内でどれだけでもするのですが、今回の要綱も不明確なところがあるので困っています。例えば、先ほどの「重度」についても明確な答えはありません。だったら、「重度」をなくしてほしいと思います。軽度の障害児もニーズは多いのです。もうひとつハッキリしてほしいのは、車の送迎を認めてほしいことです。移動について時間がかかると、その分財政上の市の持ち出しが増えます。交通機関が発達していない地域においては、車を使わないと不必要に時間がかかります。
その辺が整備されればどんどんやっていきたいのですが、ただ限られた予算の中で制度を運用するには、ある程度の利用制限はやむをえません。市町村によっても利用できる内容は違ってきます。そこには福祉担当者のつら〜い気持ちがありますので、察してほしいと思います。

●まとめ

制度の成否は、各窓口の担当者の本気度によっても変わってきますので、親密なコミュニケーションのもとで地域の福祉を向上させてください。
財源の問題は重要です。それは取って返すと、みなさんの問題でもあるのです。みなさんの選んだ議会の問題でもあるし、国民の問題でもあります。障害者の福祉はどうするのか、というのはまさに私たちがともにシェアしなければなりません。ともに考えなければならない、ということに返ってくるのです。ぜひ一緒にがんばりましょう。今日はどうもありがとうございました。


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